感染のしくみ

■感染のしくみ

病原体はどうやって感染していくのでしょう。

エイズは「相手に触れたら移る」を思われていた頃もありました。
今は「濃厚な接触でない限り移らない」のが常識的な知識です。

正しい知識は感染予防の助けですが、患者を差別から守ることにもつながります。

病気によって感染のしくみは様々です。

新型インフルエンザが報道されたとき、街のドラッグストアからマスクが消えました。
その時の大阪では、マスクをしていないと歩けないほど、感染予防としての「常識」となっていたようです。
しかし、海外の報道を見る限り、空港などの水際と流行地域はともかく、まだ1人2人の「感染」時期において、日本ほど極端な防御としてのマスク姿を見せたところはありませんでした。

しかし、数か月もたたず、マスク姿は消えました。
これは、「マスク」に予防効果は少ない、という医学的な情報が浸透したからです。
マスコミの情報に流されやすい日本人の姿勢を浮き彫りにした出来事でした。

こういったことには、付随して様々な悪話がつきます。
新聞の投稿記事にあった話です。

 たしかに、インフルエンザの「予防」には、マスクは効果が薄いと聞く。
 けれど、「他の病気」を抱えている私にとっては、マスクは「必需品」だ。
 社会に浮遊している病原体は、インフルエンザだけではない。
 マスクで助かる確率は、はるかに高いのだ。
 なのに、聞えよがしに言われる。
 「マスクが効果ないって知らないのかしら?」

もちろん、社会人がこんなに低俗な人ばかりだと思いたくはありません。
たとえ「思っちゃった」としても口に出さないのがマナーですから。
インフルエンザのことを調べるなら、詳しくでなくても「他の病気がある」ことも知らなければならないですよね。

インフルエンザの予防は「だれしも感染の可能性がある」から重要だと思われますが、
可能性が低いものだって、重要だと思うのです。


◆接触感染(直接感染)

感染者が直接「病原体」に触れることで感染します。
個体と個体のこともあれば、飛沫が生きている間なら手すりや聴診器などの「物」に触れることでの感染の危険性があります。
インフルエンザが流行している間には、エスカレーターの手すりなど、できるだけ不特定多数の人が触ったと思われるところには触れない方がいいと言われます。

<症例>
・皮膚疾患(伝染性膿痂疹など)
・眼科疾患(流行性角結膜炎)
・疥癬
・性感染症(梅毒、風疹、トキソプラズマ症、サイトメガロウイルス感染症、ヘルペスウイルス感染症、B型肝炎、AIDSなど)
・薬剤耐性菌の感染症(MRSAなど)
・狂犬病、鼡咬症、破傷風、ガス壊疽など


◆飛沫感染

病原体が、感染者の咳やくしゃみによって飛散し、これが他人の粘膜に付着すれば感染します。
咳やくしゃみの唾が直接かかることがありますよね。
これらは、いったん「物」について、そこを他人が触ることによって感染することもあり、それは接触感染になります。

<症例>
・ウイルス感染症(インフルエンザ、ジフテリア、猩紅熱、発疹熱、発疹チフス、風疹など)
・細菌性肺炎
・コロナウイルス など


◆空気感染

飛沫核感染のひとつです。
感染者の咳やくしゃみによって飛散した病原体が、空気中で水分が蒸発して軽くなって浮遊する状態です。
飛沫感染は、病原体が重くてある程度の距離で落ちてしまうもので、空気感染は空中に漂うものです。

<症例>
・麻疹(はしか)
・水痘(水ぼうそう)
・結核
・コロナウイルス

◆塵埃感染

飛沫核感染のひとつです。


◆介達感染

汚染されたものを媒介として感染するものです。

<症例>
・食中毒
・ジフテリア
・B型肝炎
・結核  など


◆経口感染
水系感染、水系流行、糞口感染などとも言います。
主に、感染した動物の肉を食べたり、感染した動物の糞尿によって汚染された水によって感染します。

<症例>
・BSE
・病原性大腸菌O157(ブドウ球菌)
・好塩菌
・ボツリヌス菌
・サルモネラ、
・腸チフス
・パラチフス
・赤痢
・コレラ
・アメーバ赤痢
・ポリオ
・A型肝炎
・ワイル病
・角結膜炎 など

◆ベクター感染

感染しているわけではないが、動物が媒介者(ベクター)となってうつるものです。
水平伝播ともいわれます。

特に節足動物(昆虫類、甲殻類、クモ類、ムカデ類など、硬い殻と関節を持つ種類)が媒介者となります。

★ベクターの体内で病原体が発育、増殖するもの
<症例>
・日本脳炎
・マラリアなどの昆虫媒介感染症
・シラミによる発疹チフスの媒介
・腸チフス、パラチフス、サルモネラ、コレラ、ポリオ など

★ベクターの体表面に付着した病原体が機械的に伝播されるもの(機械的ベクター感染)
<症例>
・病原大腸菌O157(ハエ)
・赤痢菌の媒介(ハエ)
・鳥インフルエンザ

◆血液感染

感染者の血液が粘膜に触れることで感染します。
注射や輸血、歯科治療といった医療行為、外傷などが原因となります。

<症例>
・HIV
・B型肝炎
・C型肝炎
・クロイツフェルト・ヤコブ病
・梅毒(大量の曝露があるとき)

◆胎内感染(経胎盤感染、経羊水感染)

母子感染(垂直感染)の一種。
胎盤を通る血液を通じて感染します。

<症例>
・風疹ウイルス
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
・サイトメガロウイルス


◆産道感染(経膣感染)

母子感染(垂直感染)の一種。
産時の出血や皮膚の擦り傷を介して感染します。

<症例>
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
・B型肝炎

◆母乳感染

母子感染(垂直感染)の一種。
感染した母親の母乳を飲むことで感染します。

<症例>
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
・成人T細胞白血病ウイルス

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